今日6月21日は、昼の時間が一番長い日ということでよく知られている、二十四節気の一つの夏至です。
ちなみに、今日の名古屋市の日の出の時刻は午前4時38分で、日の入りは午後7時10分です。

そんな夏至の日の夕方に、うれしいニュースが有りました。
群馬県の富岡市にある国指定史跡の富岡製糸場が、ユネスコ世界遺産に決定しました。
富岡製糸場と絹産業遺産群」という名称で、世界文化遺産としての価値が認められました。

もう4~5年前になりますが、「豊田市近代の産業とくらし発見館」のブログの発見館日誌の中で、群馬県にある旧富岡製糸場のことを知りました。

旧富岡製糸場は、9年前の平成17年に国指定史跡に登録され、翌年の平成18年7月に、明治8年以前の建造物が国の重要文化財に指定されていました。
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現在、富岡市で貴重な建造物の維持管理をしています。

昨年の平成25年4月に、群馬県の草津温泉に行く旅行計画を立てたとき、近くまで行くなら立ち寄ってみようと、富岡製糸場を訪ねることにしました。
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富岡製糸場は、蚕(かいこ)の繭(まゆ)から良質の生糸(きいと)の生産をふやし産業を盛んにするために、明治の初めに日本政府が計画して建てた大規模建造物群が現存する産業施設です。

正門入り口の受付です。
見学料は500円でした。
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解説ガイドツアー(所要時間40分)が、30分毎に出発していて、ガイドの方に施設の詳しい説明を聞きながら見学ができました。
正門から見える正面のレンガ造りの建物は、生糸の材料になる繭を保存しておく倉庫です。
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同じ建物の倉庫が東と西に2棟あります。
長さが105 m近くあり、幅が12 mの木骨レンガ造りの2階建ての建物です。

正門に近い方が東側の繭倉庫です。
この建物の2階の部分の風通しのいい場所に、養蚕農家などから春に集められた一年分の生糸の生産をする材料になる大量の繭を保存していたそうです。

東倉庫の中央の入り口の上に「明治五年」の文字がありました。
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解説ガイドさんの説明を聞きながら東倉庫の中を見学した後、倉庫の横を進んでいきます。
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倉庫の前には花壇があり、きれいな花が咲いていました。

倉庫の建物の隣に、繰糸場(そうしじょう)とよばれる繭から糸を紡ぐ工場の建物があります。
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繰糸場は富岡製糸場の中で中心的な建物であり、長さが140mもあります。
幅12mの倉庫と同じ木骨レンガ造りです。
繰糸場の中は、作業をする手もとを明るくする必要性があったことから、フランスから輸入した大きなガラス窓によって採光がなされています。
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外観の説明の後、繰糸場の入り口から工場の中に入って行きます。
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工場の内部も木骨レンガ造りです。
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工場内の天井の木材の梁が上手く組み合わされていて、広いスペースが確保されています。
木造トラス構造というそうです。
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操業されていた時のままの設備が残されています。
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繭を運ぶ容器がぶら下がっているコンベアが、今にも動きそうです。
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繰糸場から外に出て、周囲の建物の説明がありました。
工場の敷地の中には診療所もありました。
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この建物は、昭和15年に建てられた3代目の診療所です。
フランス人医師が治療していて、治療費や薬代は工場が負担していたそうです。
富岡製糸場で働く人に対する福利厚生面が充実していたことがうかがえます。

富岡製糸場の一番奥にあるブリューナ館です。普段は立ち入り禁止の場所になっています。
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富岡製糸場の設立に携わったフランス人の生糸技術者のブリューナさんの一家が滞在するために建設された木骨レンガ造りの建物です。

そして、検査人館です。
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明治6年に建築された木骨レンガ造りのベランダ付の住居風建築物です。フランス人の生糸の検査人の住居に建てられましたが、フランス人が帰ってしまった後は改装して事務所として使われています。
2階には貴賓室があり、今もそのままで残っています。

検査人館と隣り合わせに立っている女工館です。
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ここも木骨レンガ造りの建物で、フランス人の教婦(女性技術指導者)たちのために建てられました。4人の教婦たちは翌年には全員帰国してしまったため、空き家となったあと、様々な用途に転用されています。

40分の解説ガイドツアーが終わって東繭倉庫前に戻ってくると、外国人観光客が見学に来ているグループとすれ違いました。
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私が見学したときはまだ国指定の史跡であり、まだ世界遺産には登録されていませんでしたが、世界遺産に登録されたことで、ますます見学者が増えて、これからは大変な混雑が予想されます。
一年前に見ておいてよかったなぁと思っています。