7月15日 (土) 、豊田市稲武のラベンダーフェアに行った帰りに飯田街道の伊勢神峠にある歴史遺産とも言えそうな明治時代に造られた伊世賀美隧道に立ち寄りました。
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豊田市から長野県の飯田市方面につながる国道153号線は通称で飯田街道とも呼ばれています。
江戸時代ごろから、伊勢や三河の海で作られた塩を、馬の背に乗せて海が無くて塩の取れない信州方面に運ぶための街道として使われていた塩の道で、別名を中馬街道ともいいます。

その飯田街道で、豊田市内の足助地区から稲武地区に行く途中にある伊勢神峠には、現在国道153号線として使われている伊勢神トンネルの入り口手前から少し脇道を登って行った所に、明治時代に造られたトンネルの「旧伊勢神トンネル」の「伊世賀美隧道(いせがみずいどう)」があります。
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明治30年(1897年)11月に竣工したトンネルは、延長308メートル、高さ3.3メートル、幅員3.15メートルのトンネルで花崗岩造りで粗面石積みの付け柱に迫石を二重の馬蹄形に組み上げた断面形状をしています。
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当初はレンガ造のトンネルとして設計されましたが、現地の地層や湧水による崩落の可能性から、石造のトンネルに変更されたそうです。
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明治の建造物が今なお残る歴史遺産として、伊世賀美隧道は、平成12年(2000年)には国の登録有形文化財となっています。
同じような石積みのトンネルで、明治時代に造られた伊豆の天城山隧道(天城トンネル)は国の重要文化財に指定されています。

伊勢神峠の名は、以前は石神峠や石亀峠と呼ばれていましたが、峠から伊勢湾を隔てた志摩半島の伊勢に向かって遥拝したことから「伊勢おがみ峠」が訛って「いせおがみ」がいつしか「いせがみ」となったという説があります。

このトンネルの扁額(へんがく)です。
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右から読みますが、「伊世賀美」と書かれています。
「伊勢神」と書くにはおそれ多いということでこの字をあてたという話もあるようです。

照明が無く真っ暗なトンネル内に車で入ってみました。
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ヘッドライトを消したら何も見えません。
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トンネルの幅は3メートルしかないので、乗用車1台分しか通れませんが、トンネルが出来た当初は荷車の時代だったので、この幅でもすれ違いが出来たようです。
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トンネル内は全て同じ幅かと思いましたが、途中で少し広くなったり狭くなったりしていました。
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しっかりとした石積みが明治時代の土木技術のレベルの高さを物語っています。

トンネルを通り抜けて出てきた稲武地区側から見た伊世賀美隧道です。
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少し涼しさを感じました。

現在の伊勢神トンネル(延長1,245メートル)が昭和35年(1960年)に開通したため、この古いトンネルは今ではほとんど使われていない状態になっています。
国道153号線で伊勢神トンネルを通る機会が有りましたら、一度少し寄り道をして明治のトンネル「伊世賀美隧道」を訪ねてみてはいかがですか。
伊勢神トンネルの西側(足助方面)の方からの登り道の方が、道路が広くて走りやすいと思います。