刈谷市野田町の野田八幡宮で、今からおよそ300年前の江戸時代に始まったといわれている雨乞いの奉納「平成29年度  野田雨乞笠おどり」が8月27日(日)午後4時から行なわれました。
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野田雨乞笠おどりに関して記録に残されている一番古い記述は、正徳2年(1712年)の『社家古文書』に見られます。
その後、伝統に輝くこの雨乞笠おどりも戦時中の昭和17年(1942年)を最後に中断し、まぼろしの物となりつつありました。

それから37年が経過した昭和54年(1979年)、刈谷市制30周年を期に地元から野田雨乞笠おどりの復活の機運が盛り上がり、野田青年団と地元の小学校児童の協力を得て、当時の経験者の指導により練習を重ねて、見事に復活することができました。
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これを機に、翌年の昭和55年(1980年)3月に「野田雨乞笠おどり保存会」が結成され、同年の11月東京における全国青年大会(郷土芸能の部)に愛知県代表として出場し、見事優秀賞に輝き、野田雨乞笠おどりは全国にも知られるようになりなした。
その後、昭和59年(1984年)8月に刈谷市無形民俗文化財に指定されています。


野田八幡宮は、白鳳5年(676年)創建と伝えられる神社です。
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江戸時代から藩主の信仰が厚く、刈谷藩の時代には市原稲荷・知立神社と並んで領内三社として位置づけられていました。
古くから「八幡さま」と親しまれ、産土(うぶすな)の神として村人の信仰を集めてきました。

社記によると、野田八幡宮は「八幡大神(応神天皇)」・「物部祖神」などが祀られています。
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刈谷市内では一番位の高い神社であり、現在は末社が23社あります。
長い参道の途中に真っ赤な鳥居がありました。
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扁額の文字が薄くなっていましたが「野田八幡宮」と確認できます。
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さらに参道を奥に進むと、境内がひろがり、その奥に社殿があります。
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午後2時半頃の境内では、雨乞笠おどり保存会の人達や地元自治会の人達で、これから始まる雨乞笠おどりの準備が行なわれていました。
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拝殿でお詣りして、境内に隣接している野田史料館を見学させていただきました。
野田地区が建設した地区の史料館で、昭和56年に開館しました。
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江戸時代から明治時代にかけての野田村の古文書を中心に、野田八幡宮に伝わる刀剣類、甲冑類などが保管されており、水野勝成奉納の総髪兜そうごうのかぶと、棟札、野田村文書、野田八幡宮絵馬群(いずれも刈谷市指定有形民俗文化財)が所蔵されています。
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水野勝成奉納の総髪の兜です。
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エアコンがきいている涼しい館内では、雨乞笠おどりのVTRが放映されていて、時間を過ごさせていただきました。
開始30分前の午後3時半頃には式典の準備が整い、椅子が並べられ来賓者の皆さんがテントの下に集まってきています。
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子供たちのためにスーパーボールすくいが始まっていました。
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雨乞笠おどりを演じる浴衣姿に赤ダスキの子供たちも集まってきて、かき氷を食べながら楽しそうにしています。
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午後4時、野田雨乞笠おどり奉納の式典が始まりました。
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野田八幡宮の宮司による神事が執り行われていきます。
祝詞奏上(のりとそうじょう)や、
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主催者、来賓者の玉串奉奠(たまぐしほうてん)、
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雨乞笠おどり出演者の代表も玉串を奉げました。
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野田雨乞笠おどり保存会会長による主催者挨拶や、刈谷市長初め多くの議員さんら来賓の方々の祝辞と、40分近いチョット長い式典でした。
早く雨乞笠おどりが始まらないかと待ちわびる人たちで、境内にはたくさんの人が集まってきていました。
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式典が終わり、椅子が片づけられて、いよいよ雨乞笠おどりの始まりです。
午後5時ごろ「大人の部」が始まりました。
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太鼓を真ん中にして、左右に7人づつの演技者が並びました。
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浴衣に赤いたすきを掛け、一文字菅笠をかぶって、両手に桐の木で作った「つつろ」という短いバチを持ちます。
菅笠は紅白に彩られ、華やかな装いです。

ほら貝の合図で「雨乞のうた」が歌われ、雨乞笠おどりが始まりました。
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雨乞笠おどりは、踊り手が2人1組になり、太鼓をはさんで向かいあいます。
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雨乞の唄と采配に合わせて踊り手が踊りながら太鼓や太鼓の背を打ちます。

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この雨乞笠おどりは、非常にシンプルで良く言えば「素朴」、見方によれば「地味」といえる、古きよき時代の、農民の切実な願いがあらわれている趣のある踊りになっています。

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踊りの途中で、雨が降ってこないかと空を見上げる動作もありました。
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二人で太鼓に腰掛けて踊りが終わります。
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踊りには数種類あって、それぞれ見せ所があります。
踊りも順番があり、「場ならし」→「三拍子」→「ささら」→「綾」→「おさめ」が基本の順番です。
「場ならし」で歌われる「雨乞のうた」の一部です。
 がたぎたよ 花も消えよ その花をも消よ
 がたぎたよ 一人一人としのばはよかろう
 しのばぬ人は なもよかろう

 (以下省略)

およそ15分で、「大人の部」の7組が踊り終えました。
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この後は「子供の部」です。
高校生2名を含め中学生から小学生、こども園の年長組や年中組も参加しての総勢47名の雨乞笠おどりです。
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菅笠を付けてもらい準備も楽しそうです。
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子供の部のまとめ役の人は、これから踊る順番を一人一人名前を呼んで確認をしています。
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準備が整いました。いよいよ「子供の部」の雨乞笠おどりの始まりです。
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人数が多いので4つの太鼓が並べられました。

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踊りの内容は大人と同じです。
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お孫さんの可愛い踊る姿に、カメラを持つ人たちの笑顔がはじけます。
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陽も傾き、涼しい風が吹き抜ける野田八幡宮の境内では、まだまだ踊りが続いています。
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夕方6時近く、長い伝統がある素朴な雨乞笠おどりを楽しんで、振舞いでいただいたポン菓子を手にして帰りました。