豊田市には、登録有形文化財が平成29年8月末現在で、18の建造物が有形文化財に登録されています。
登録有形文化財とは、国や県や市町村が指定する文化財とは別に、平成8年(1996年)の文化財保護法改正により創設された文化財登録制度に基づき、文化財登録原簿に登録された有形文化財のことです。
豊田市で最初に登録された有形文化財は、平成12年(2000年)9月26日に登録された明治時代の建造物で豊田市明川町の「伊世賀美隧道」です。
(※ 2017年7月16日のやつば池散歩道のブログで紹介)

そこで、今回は豊田市で2番目に登録された有形文化財の建造物を紹介します。
その建物は、時々このブログでも登場している豊田市喜多町の「豊田市近代の産業とくらし発見館」(略称:くらし発見館)です。
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この建物は大正11年(1922年)に、「愛知県蚕業取締所第九支所」として竣工されました。
当時の愛知県は、全国屈指の養蚕県で西三河北部の繭(まゆ)取引中心地として栄えていたころを学ぶことができる数少ない歴史遺産のひとつです。
また、この建物は、豊田市域に現存する最古級の鉄筋コンクリート造り建築物であるとともに、この地域における初期の鉄筋コンクリート造りの建築様式を伝えています。
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伊世賀美隧道と同じ年の平成12年(2000年)10月18日に、豊田市近代の産業とくらし発見館の「建物」と「正門」の2つの建造物は、「旧愛知県蚕業取締所第九支所」の名称で国の登録有形文化財となりました。
くらし発見館の建物の正面入り口です。
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入り口の横に登録有形文化財の銘板が有りました。
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正面入り口の建物側から見たもう一つの登録有形文化財の正門です。
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観音開きの木製の扉で上半分が格子状になっています。
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正門の上部に取り付けられている玄関灯はレトロな感じのものが使われています。
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建物は鉄筋コンクリート造りですが、窓枠などはアルミサッシではなく、すべてが木製の窓や扉です。
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白い塗料で塗られていますが、時代を感じる窓枠です。
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この豊田市近代の産業とくらし発見館の建物は、昭和28年(1953年)からは挙母市立図書館(現・豊田市中央図書館)、昭和45年(1970年)からは准看護学校や豊田市青少年相談所として使用されており、現在に至っています。