豊田市小坂本町にある豊田産業文化センターの駐車場の横に、国の登録有形文化財の建造物「喜楽亭(きらくてい)」があります。
2月28日(水)に、訪ねました。
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喜楽亭は、大正時代末期から昭和初期に挙母の町中(現在の豊田市神明町)に建てられた、大正の町屋建築を今に伝える、和風建築の料理旅館でした。
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昭和42年に廃業後、住居として使用していたものを昭和57年、改築にあたって所有者より豊田市に寄贈され、翌年の昭和58年(1983年)に現在地に移築されたものです。
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喜楽亭は、近年の都市化により、急速に姿を消しつつある下町の大規模な和風建築を今に伝えていることから、平成25年(2013年)に国の登録有形文化財に登録されました。
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玄関には内裏雛が飾られていました。
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内裏雛の後ろの障子には三階菱の紋があります。
三階菱でも中央が大きい菱のものを松皮菱と呼び、上下に更に小さな菱を付けたデザインで、その形状が松の外皮に似ていることに由来するそうで、日本特有の紋様とされています。

玄関の横の部屋です。料理旅館の帳場と電話室になっていました。
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帳場に宿泊料金表がありました。
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いつの時代のものか分かりませんが、宿泊料金が20円、税金が8円と奉仕料が4円で総計32円也となっており、其ノ他 別料理 御注文に応じますと書かれています。
宿泊税が宿泊料金の40%も取られていたとは驚きです。

玄関からの廊下の突き当りに大きな鏡が取り付けられていました。
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鏡の上の方には「優等 銘酒」の黄色の文字と、中央に「明君」の商標マークがあり、下の方には白色で「御料理  喜楽亭」の文字が右から読むように書かれています。
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ちなみに銘酒「明君」は、大正12年創業の京都市伏見区にある松山酒造(株)の商標で、月桂冠グループの酒蔵です。

廊下だった場所には畳が敷かれ、窓の外に中庭がありました。
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和室の床の間には、縁起の良い「松・竹・梅」が材料として使われているそうです。
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しゃれた手すりの階段で2階へ上がります。
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喜楽亭では3月8日(木)まで、ひな飾りが展示されていて、
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階段を上がった2階の和室には見事な段飾りが並んでいました。
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資料館の中の飾り付けじゃなくて、昭和初期の建物の和室に飾られており、風情があります。
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御殿飾りで、されに七段の段飾りです。
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京風の15人が並ぶ超豪華版です。
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ひな祭りの蒸し菓子の「おこしもん」も添えられています。

床の間の琵琶棚にも可愛い人形が飾られていました。
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このあと、部屋を出て、庭も見せてもらいました。
表の庭園から見た喜楽亭です。
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2階には窓がほとんどありませんが、8帖の和室が3室並んでいて、この面には床の間がある間取りになっているためです。
庭の真ん中に川が流れていて、池もありました。
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苔が庭全体に植えられた和風庭園になっています。
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モミジがたくさん植えてあり、秋の紅葉は素晴らしいそうです。
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この時期にはまだ早いアヤメが数輪咲いていました。
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この花は寒咲き菖蒲(あやめ)で1月~3月に咲く品種のものです。

喜楽亭の係員の方の話では、昨年には豊田市をロケ地にして撮影された映画「星めぐりの町」のロケがこの建物の中でも行なわれ、黒土監督が一週間ほど通われたそうです。
震災で家族を失って豊田市に来た政美少年が生活していた部屋は、喜楽亭の2階を使って撮影されていたということです。