豊田市郷土資料館では、平安時代中期の十世紀末に造られたとされる、豊田市指定文化財の「木造千手観音立像」が、4月10日 (火) から4月22日 (日) までの短い期間限定で特別公開されています。(※月曜は休館日)
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豊田市郷土資料館の外壁に掲示された企画展の案内看板です。
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入場無料で貴重な千手観音立像(せんじゅかんのんりゅうぞう)を見ることが出来ます。

この観音立像は豊田市猿投町の猿投神社にある山中観音堂の本尊秘仏として安置されていたものですが、傷みや汚れが目立っていたため、2年前の平成28年(2016年)から修復していたものです。
山中観音堂の木造千手観音立像は、高さ1. 675mと大人の背丈と同じくらいの大きさです。
郷土資料館の展示室では、観音像はガラスケースの中に収められての公開展示です。
撮影禁止になっていますので個人での撮影は出来ません。
下の写真は、新聞社提供の写真をコピーしたものです。
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2年間かけて解体・修復を終えた観音像は、柔らかい表情をたたえています。
修復費用は市からの補助も含めて約440万円だったそうです。

下の写真3枚は、修復前の山中観音堂の木造千手観音立像です。
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以前は目や口に色が付けられていましたが、汚れとともに落として本来の姿に戻したそうです。
千手観音の手は胸の前で合掌し、腹部のやや下では鉢を持っています。
左右に備える各19本の手は正しい配列に付け直され、扇のように大きく広がっています。
それぞれの手には利益や功徳を表す数珠や鏡、斧などを持っています。
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千手観音は「千の手と千の目(手のひらにに目がある)」を持つことから、千手千眼観世音菩薩とも言います。
千には無限という意味があり、無限の力と多様な徳で多くの人を救う仏だと考えられています。
人々に悟りの法を説く「如来(にょらい)」に対し、観音は人々に現世利益の救済を施す存在で、日本では奈良時代からこの信仰が盛んになりました。
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千手といっても実際に千本の手を持つものではなく、合掌する2本の手の他に40の手を加えた42手で造られてことが一般的な千手観音です。
仏教では、40本の手はそれぞれ三界二十五有(すべての世界を25種類に分ける考え)を救うとされてることから40✕25=1000となり、その手には様々な法力や徳を示す持物(仏像が手にしているもの)を持っています。

特別公開を終わると、観音像は猿投神社の山中観音堂に戻り、市民の目に触れる機会は無くなるそうです。
山中観音堂は、猿投神社に鬼門除けの寺として平安時代に創建された御堂です。
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神社境内の外に立てられていた故なのか、明治維新の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)でも取り壊されず現在に至っています。
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修復される前の木造千手観音立像は、このお堂の中に安置されていました。

豊田市の文化財課の方の話では、次回の公開予定は無いそうなので、ぜひこの機会を逃がさないで見てほしいということです。